フルーティーな風味が飲みやすいスパークリングワインには様々な製造方法がありますが、その中のひとつに瓶内二次発酵があります。
瓶内二次発酵は最も古く、最も手間がかかる方法と言われており、伝統的な製法や、より深みのある味を求める方の間で人気です。
まずは厳選されたブドウから採取した果汁をタンクに入れて、ベースとなる白ワインを製造するところから始まります。
酵母を加えることでブドウの果汁に含まれている糖分が分解され、アルコールと二酸化炭素が発生しアルコール発酵が行われます。
糖分が無くなるまで発酵を続ければ辛口になり、糖分を残した段階で停止すれば甘口になり、ここでの判断が最終的なテイストを決定づけます。
ベースとなる白ワインが完成したら、酵母とショ糖を共に瓶詰めをします。
酵母は白ワインに残留している糖分やショ糖と反応して再び発酵することから、これを瓶内二次発酵と呼びます。
このプロセスの中で硫黄がほんの僅かながら発生するものの、人間の活動をサポートするアミノ酸、旨味成分のグルタミン酸やアスパラギン酸も発生して溶け込み、より深みと旨味のあるスパークリングワインが完成します。
瓶内二次発酵が完了するまでには最低でも1年以上の歳月が必要で、ヴィンテージものとする場合には10年、20年という期間が必要です。
その前のベースとなる白ワインの製造も含めればもっと長い時間を要しますが、その手間暇とこの製法でしか味わえない風味に価値を見出す方から根強い人気があります。
そんな良いこと尽くめに見える瓶内二次発酵ですが、唯一欠点があるとすればカスが溜まりやすいというところです。
発酵や熟成に時間がかかるほど酵母が分解を繰り返すことでカスは溜まり、その芳醇な味と引き換えに見た目が良くないことから敬遠されたこともありました。
そこで専用の台にボトルを置いて回転させることで旨味成分を全体に行きわたらせながらカスを撹拌させたり、ボトルを逆さまにしてカスを先端へ移動させてから栓を抜くことでカスを取り除きます。
ここでスパークリングワインの量が少し減ってしましますが、そこに白ワインとショ糖を追加することでさらに発酵させます。
これを繰り返すことで、求める味をキープしながらカスを排除したスパークリングワインが完成します。
現代となってはややクラシカルな手法ですが、熟練の職人が敢えてこれだけの手間をかけたからこそ大きな価値を持ち、そのテイストを楽しむ方に素敵な一時を与えています。